木造各種伝統仕口の詳細計算 大断面通し貫・差鴨居・長ほぞ込栓・通し貫仕口・小根ほぞ込栓/鼻栓・竿込栓/車知・雇い込栓/車知

本プログラムは、木造各種伝統仕口の 回転(回転剛性 Kθ・降伏耐力 My/Qy・終局耐力 Mu/Qu)と、 引張(軸方向)(引張剛性 Kt・引張降伏耐力 Pyt・引張最大耐力 Put・折れ点変位 δv・終局変位 δu)を算定します。 引張は、仕口の構造上引抜きに抵抗する要素をもつ 7 仕口(長ほぞ込栓/小根ほぞ込栓/小根ほぞ鼻栓/竿込栓/雇い込栓/竿車知/雇い車知)で 「検討種別」から選択できます。大断面通し貫・差鴨居・通し貫仕口は引張耐力を算定できないため回転のみです。
出典: 日本建築学会 限界耐力計算による伝統的木造建築物構造計算指針・同解説, 2025 / 日本建築学会 木質構造接合部設計マニュアル 2025年版
入力を変更するたびに自動で再計算されます

1. 入力諸元

2. 計算結果

イメージ図
M-θ / Q-R グラフ
詳細計算ログ
結果一覧
計算結果がここに表示されます。
詳細計算過程がここに表示されます。

3. データ管理(複数ケース保存・読込)

現在の入力内容と計算結果に名前を付けて追加できます。ブラウザの localStorage に永続保存されます。CSV/JSON で書出して別環境でも読込みできます。
No ケース名 仕口 検討 Kθ/Kt My/Qy/Pyt Mu/Qu/Put θy/Ryv θu/Ruu 日時

4. 計算書出力

出力する項目を選択して「計算書を生成」を押すと、新しいウィンドウに計算書が表示されます。ブラウザの印刷機能で PDF 保存・印刷ができます。
出力対象:

5. 計算結果出力

入力値と計算結果を表形式の CSV ファイルとして出力します(Excel で直接開けます)。
出力対象:

6. 計算ロジック 詳細解説

▼ 展開して詳細を読む

(1) 大断面通し貫の詳細計算

圧縮側木材の三角形めり込み分布を仮定し、貫が柱見込みに対してめり込む際の降伏・終局モーメントから水平せん断耐力 Qy, Qu を算定します。

Fcy = (2/3)Fcv
Mcv1 = Fcy·b·C²/6,  Mcv2 = 0.16·Fcv·b·C²
Qy = 2·Mcv1/H · m,  Qu = 2·Mcv2/H · m (m: 片側=1, 両側=2)

(2) 差鴨居の詳細計算

差鴨居断面のめり込み圧縮域面積 Acv=(b·d−b'·d')/2 から AIJ式準拠で My, Mu を算定。

(3) 長ほぞ込栓仕口の詳細計算

日本建築学会 限界耐力計算による伝統的木造建築物構造計算指針・同解説 第3章 (3.36)〜(3.44) に準拠。込栓抵抗 Fdy,y は (3.19)〜(3.35) により Pyj・Pus・Puk の最小値で支配。

(4) 通し貫仕口(付録モデル)

付録モデル: xp=Wc/2, yp=b, z0=h で Cxm, Cym, Fm=2.4/3·Fcv を求め、Kθ, My を算定。

(5) 小根ほぞ込栓・小根ほぞ鼻栓

付4.1〜付4.22 に基づき、正方向・負方向を個別に完全バイリニアで算定。込栓の引きボルト効果(正)とほぞ上面めり込み(負)を加算します。

(6) 竿込栓・雇い込栓

付録4の込栓系2機構加算(込栓の引きボルト効果 + めり込み)。正/負方向を個別に算定。

(7) 竿車知・雇い車知

2014/2023年論文に基づく多バネモデル。N1〜N5 の力と各レバー長から Kθ, My, Mu を算定。引張耐力 Pt は指針 (3.68)〜(3.96) により算定し、終局モーメント Mu の Tu=α·Pt にも同じ値を用います。

(8) 引張(軸方向)の計算

「検討種別」で 引張(軸方向) を選ぶと、荷重-変位関係(完全弾塑性バイリニア)を算定します。

込栓系(長ほぞ込栓・小根ほぞ込栓・竿込栓・雇い込栓) 指針 (3.19)〜(3.35)
Kt = 2K1K2/(K1+K2)  …(3.19)
Pyt = Put = min(Pyj, Pus, Puk)  …(3.25)
※ 竿込栓・雇い込栓は面圧定数・面圧降伏応力に繊維方向の値を用いる(3.2.4(10))
小根ほぞ鼻栓 指針 (3.61)〜(3.67)
Pyt = Put = min(Pym, Pus)  (Pym = √(8d1MyFEcp2/(1+β)), Pus = 2Fs1(L−d1)b)
※ 引張剛性の計算式は確立されていないため、初期剛性は表3.44 の実験値(50%下限値)を既定値としています
竿車知・雇い車知 指針 (3.68)〜(3.96)
Kt = cos²θ / (1/Kcb+1/Kcs+1/Kcw)  …(3.68)
Ptu = min(Pus, Puc, Pue, Put, Puk)  …(3.72)
δtv = Ptu/Kt,  δtu = δtv または δtv+0.1s  …(3.94)〜(3.96)

(9) 栓(木ダボ・込栓・鼻栓・車知栓)の材料

栓の材料定数は「木質構造接合部設計マニュアル」3.4.3.3 の密度からの回帰式で求めます。栓の樹種・密度・材料定数の水準(5%下限値/平均値)は入力欄で選択でき、実測値がある場合は各定数を直接入力できます。

E = 2100 + 13.7ρ  …式(3.4-26)
Fcvf = −6.2 + 0.0266ρ(5%下限値)/ −8.2 + 0.0354ρ(平均値)
Fb = 6.1 + 0.102ρ(5%下限値)/ 8.1 + 0.136ρ(平均値)
Fs = (−5.8 + 0.075ρ)d−0.4(5%下限値)/ (−7.7 + 0.100ρ)d−0.4(平均値)  …式(3.4-28)(3.4-29)
車知栓: Fcvwf = −8.2 + 35.4ρ[g/cm³](平均値。5%下限値は平均値の 3/4), FEfw = 0.8Fcvwf

堅木(カシ・ナラ等)の条件と参考文献上の上限: 指針は栓の樹種を「カシ・ナラなどの堅木(800 kg/m³ 程度)」と規定しています。 接合部設計マニュアル 表3.4-2 で実測されている堅木の上限は カシ ρ = 950 kg/m³(圧縮タケ 1090 kg/m³ は参考値)です。 また密度 850 kg/m³ 以上で破断しないことが確実な場合は靱性区分を JA として扱ってよく、回帰式・解析式の適用径は 12〜45 mm 程度、含水率は 15% 以下とされています。 入力がこれらの範囲を外れる場合は入力欄と計算ログに警告を表示します。